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一元論理代数方程式の応用

次に示す真理値表になるような論理式$ x$を求めよ。

a b x
0 0 0
0 1 1
1 0 1
1 1 1

真理値表の第一行は、$ a$が0であり、かつ$ b$が0であるとき$ x$が0になる ことを示している。

これを論理式で表すと次のようになる。

$\displaystyle (a \leftrightarrow 0)(b \leftrightarrow 0) (x \leftrightarrow 0)$ (12)

第二行は、$ a$が0であり、かつ$ b$$ 1$であるとき$ x$$ 1$になることを示し ている。

これを論理式で表すと次のようになる。

$\displaystyle (a \leftrightarrow 0)(b \leftrightarrow 1)(x \leftrightarrow 1)$ (13)

同様に第三行と第四行を論理式で表すと次のようになる。

$\displaystyle (a \leftrightarrow 1)(b \leftrightarrow 0)(x \leftrightarrow 1)$ (14)

$\displaystyle (a \leftrightarrow 1)(b \leftrightarrow 1)(x \leftrightarrow 1)$ (15)

式(12)は式(10)の規則により、次のようになる。

$\displaystyle \sim a \sim b \sim x$ (16)

式(13)は式(10)と式(11)の規則により、次のようになる。

$\displaystyle \sim a b x$ (17)

同様に式(14)と式(15)も、式(10)と式(11) の規則により、次のようになる。

$\displaystyle a \sim b x$ (18)

$\displaystyle a b x$ (19)

真理値表は、第一行かまたは第二行かまたは第三行かまたは第四行が成立するこ とを意味しているので、論理式で表すと式(16)と式(17)と式 (18)と式(19)の論理和になる。

$\displaystyle \sim a \sim b \sim x \lor \sim a b x \lor a \sim b x \lor a b x$ (20)

式(20)を論理方程式として考えると次のように整理できる。


    $\displaystyle \sim a \sim b \sim x \lor \sim a b x \lor a \sim b x \lor a b x$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \sim a \sim b \sim x \lor (\sim a b \lor a \sim b \lor a b)x$ (21)

式(21)を式(3)に対応させると、$ f_0$$ f_1$は次のよう になる。

$\displaystyle f_0$ $\displaystyle =$ $\displaystyle \sim a \sim b$ (22)
$\displaystyle f_1$ $\displaystyle =$ $\displaystyle \sim a b \lor a \sim b \lor a b$ (23)


    $\displaystyle f_0 \sim x \lor f_1 x$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \{(\sim x \leftrightarrow f_0) \lor (x \leftrightarrow f_1)\}(f_0 \lor f_1)$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \{(\sim x \leftrightarrow \sim a \sim b) \lor (x \leftrightarrow (\sim a b \lor a \sim b \lor a b))\}(f_0 \lor f_1)$ (24)

式(24)は式(4)の形式なので、これを式(5)の一 般解形式にする。

$\displaystyle \{(x \leftrightarrow \sim (\sim a \sim b)) \lor (x \leftrightarrow (\sim a b \lor a \sim b \lor a b))\}(f_0 \lor f_1)$ (25)

式(25)の第1項は解の一つが $ x \leftrightarrow \sim (\sim a \sim
b)$であることを示している。これはド・モルガンの法則より $ x \leftrightarrow a \lor b$になる。

式(25)の第2項はもうひとつの解が $ x \leftrightarrow (\sim a b \lor a \sim b \lor a b)$になることを示している。これも整理すると $ x \leftrightarrow a \lor b$になる。

$\displaystyle \because \quad \sim a b \lor a \sim b \lor a b$ $\displaystyle =$ $\displaystyle \sim a b \lor a(\sim b \lor b)$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \sim a b \lor a$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle (\sim a \lor a)(b \lor a)$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle b \lor a$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle a \lor b$  

または、
$\displaystyle \because \quad \sim a b \lor a \sim b \lor a b$ $\displaystyle =$ $\displaystyle m_1 \lor m_2 \lor m_3$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \sim \sim (m_1 \lor m_2 \lor m_3)$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \sim m_0$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle M_3$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle a \lor b$  

最後の解けるための条件である $ f_0 \lor f_1$は、式(22)と式 (23)の論理和である。これは次のように最小項の全ての和になる。 最小項の全ての和は$ 1$なので解けるための条件は常に成立し、制限条件が無い ことが分かる。

$\displaystyle \sim a \sim b \lor \sim a b \lor a \sim b \lor a b$ $\displaystyle =$ $\displaystyle m_0 \lor m_1 \lor m_2 \lor m_3$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle 1$  

そこで、真理値表を満たす論理式$ x$は、$ a \lor b$だけであることが分かった。


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MANOME Yoichi 平成17年7月6日