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論理関数の加法標準形

論理関数を関数値と最小項の論理積で展開表現 したものである。n変数の論理関数は関数値と最小項の論理積の組み 合せの論理和になる。

1変数$ (x)$の論理関数の例:

$\displaystyle f(x)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0) \sim x \lor f(1) x$  
$\displaystyle f(x)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle f_0 x^0 \lor f_1 x^1 \qquad (x^0=\sim x, \quad x^1=x)$  
$\displaystyle f(x)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle f_0 m_0 \lor f_1 m_1$  

この式が正しいことは、$ x$の取り得る値の0と$ 1$を代入してみれば分かる。

$\displaystyle f(x) = f(0) \sim x \lor f(1) x \\
$

上式において、$ x$の値を0とすれば、次のように左辺と右辺が等しくなる。

$\displaystyle f(0)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0) \sim 0 \lor f(1) 0$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0) 1 \lor f(1) 0$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0) \lor 0$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0)$  

また、$ x$の値を$ 1$としても、次のように左辺と右辺が等しくなる。

$\displaystyle f(1)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0) \sim 1 \lor f(1) 1$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0) 0 \lor f(1) 1$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle 0 \lor f(1)$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle f(1)$  

従って、 $ f(x) = f(0) \sim x \lor f(1) x $という論理関数は$ x$の値が0で も$ 1$でも成立し、全てのばあいを満たしているので、任意の$ x$にたいしても成 立していることになる。

この式を指数形式で表記すると、次のようになる。

$\displaystyle f(x) = \bigvee_{(a) \in B^1} f(a)x^a
$

$ B^1$のうち$ f(a)=1$となる$ a$に対応する最小項$ x^a$が残り、$ f(a)=0$ となる$ a$に対応する最小項$ x^a$は消える。

1変数論理関数$ f(x)$$ f(a)=1$となる$ a$に対応する最小項だけの論理和 で表現(minterm expression)すると、次のようになる。

$\displaystyle f(x) = \bigvee_{f(a)=1} x^a
$

$ f(0)=1$だけならば $ f(x)=x^0=\sim x$ になり、あるいは $ f(1)=1$だけなら ば $ f(x)=x^1= x$ になる。また、$ f(0)$$ f(1)$がともに$ 1$ならば $ f(x)=x^0 \lor
x^1 = \sim x \lor x$となる。

2変数$ (x, y)$の論理関数の例:

$\displaystyle f(x, y)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0, 0) \sim x \sim y \lor f(0, 1) \sim x y \lor f(1, 0) x \sim y \lor f(1, 1) xy$  
$\displaystyle f(x, y)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle f_0 x^0 y^0 \lor f_1 x^0 y^1 \lor f_2 x^1 y^0 \lor f_3 x^1 y^1$  
$\displaystyle f(x, y)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle f_0 m_0 \lor f_1 m_1 \lor f_2 m_2 \lor f_3 m_3$  

2変数論理関数$ f(x, y)$は、最初に$ x$だけを変数と考え、$ y$ を定数$ Y$と考えれば、次のように1変数論理関数のように扱うことができる。

$\displaystyle f(x, Y) = f(0, Y) \sim x \lor f(1, Y) x \\
$

この式が正しいことは、$ x$の取り得る値の0と$ 1$を代入してみれば分かる。

上式において、$ x$の値を0とすれば、次のように左辺と右辺が等しくなる。

$\displaystyle f(0, Y)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0, Y) \sim 0 \lor f(1, Y) 0$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0, Y) 1 \lor f(1, Y) 0$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0, Y) \lor 0$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0, Y)$  

また、$ x$の値を$ 1$としても、次のように左辺と右辺が等しくなる。

$\displaystyle f(1, Y)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0, Y) \sim 1 \lor f(1, Y) 1$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0, Y) 0 \lor f(1, Y) 1$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle 0 \lor f(1, Y)$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle f(1, Y)$  

従って、 $ f(x, Y) = f(0, Y) \sim x \lor f(1, Y) x $という論理関数は$ x$の値が0で も$ 1$でも成立し、全てのばあいを満たしているので、任意の$ x$にたいしても成 立していることになる。

次にこの式の定数$ Y$を変数$ y$と考えて展開すれば、次のように2変数論理関数 の展開式が求まる。

$\displaystyle f(x, y)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0, y) \sim x \lor f(1, y) x$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \left[f(0, 0) \sim x \lor f(1, 0) x \right] \sim y \lor \left[f(0, 1) \sim x \lor f(1, 1) x\right] y$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \left[f(0, 0) \sim x \sim y \lor f(1, 0) x \sim y\right] \lor \left[f(0, 1) \sim x y \lor f(1, 1) x y \right]$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle f(0, 0) \sim x \sim y \lor f(0, 1) \sim x y \lor f(1, 0) x \sim y \lor f(1, 1) xy$  

これを指数形式で表記すると、次のようになる。

$\displaystyle f(x, y) = \bigvee_{(a, b) \in B^2} f(a, b) x^a y^b
$

$ B^2$のうち $ f(a, b)=1$となる$ (a, b)$に対応する最小項$ x^a y^b$が残り、 $ f(a, b)=0$となる$ (a, b)$に対応する最小項$ x^a y^b$は消える。

2変数論理関数$ f(x, y)$$ f(a, b)=1$となる$ (a, b)$に対応する最小項だ けの論理和で表現(minterm expression)すると、次のようになる。

$\displaystyle f(x, y) = \bigvee_{f(a, b)=1} x^a y^b
$

たとえば、$ f(0,1)$$ f(1,0)$$ f(1,1)$$ 1$ならば $ f(x, y)=x^0 y^1 \lor
x^1 y^0 \lor x^1y^1 = \sim x y \lor x \sim y \lor xy$となる。

3変数$ (x, y, z)$の論理関数の例:

略記だけを示す。

$\displaystyle f(x, y, z)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle f_0 m_0 \lor f_1 m_1 \lor f_2 m_2 \lor f_3 m_3 \lor f_4 m_4 \lor f_5 m_5 \lor f_6 m_6 \lor f_7 m_7$  

指数形式の表記法では、次のようになる。

$\displaystyle f(x, y, z) = \bigvee_{(a, b, c) \in B^3} f(a, b, c) x^a y^b z^c
$

$ B^3$のうち $ f(a, b, c)=1$となる$ (a, b, c)$に対応する最小項 $ x^a y^b z^c$ が残り、 $ f(a, b, c)=0$となる$ (a, b, c)$に対応する最小項 $ x^a y^b z^c$は消える。

3変数論理関数 $ f(x, y, z)$ $ f(a, b, c)=1$となる$ (a, b, c)$に対応する最小項表現(minterm expression)にすると、次のようになる。

$\displaystyle f(x, y, z) = \bigvee_{f(a, b, c)=1} x^a y^b z^c
$

n変数 $ (x_1, x_2, x_3, \ldots , x_n)$の論理関数の例:

略記だけを示す。

$\displaystyle f(x_1, x_2, x_3, \ldots , x_n) = f_0 m_0 \lor f_1 m_1 \lor f_2 m_2 \lor \cdots \lor f_{2^n-1}m_{2^n-1}
$

これは次のような一般式で表現できる。

$\displaystyle f(x_1, x_2, x_3, \ldots , x_n) = \bigvee_{i=0}^{2^n-1}f_i m_i
$

この一般式が理解しにくいばあいは、つぎのように論理和を数学の加法($ +$)と考えればよい。

$\displaystyle f(x_1, x_2, x_3, \ldots , x_n) = \sum_{i=0}^{2^n-1}f_i m_i
$

指数形式の表記法では、次のようになる。

$\displaystyle f(x_1, x_2, x_3, \ldots ,x_n) = \bigvee_{(a_1, a_2, a_3, \ldots ,...
...a_2, a_3, \ldots , a_n) x_{1}^{a_1} x_{2}^{a_2} x_{3}^{a_3} \ldots x_{n}^{a_n}
$

$ B^n$のうち $ f(a_1, a_2, a_3, \ldots ,a_n)=1$となる $ (a_1, a_2, a_3,
\ldots ,a_n)$に対応する最小項 $ x_{1}^{a_1} x_{2}^{a_2} x_{3}^{a_3} \ldots
x_{n}^{a_n}$が残り、 $ f(a_1, a_2, a_3, \ldots ,a_n)=0$となる $ (a_1, a_2, a_3,
\ldots ,a_n)$に対応する最小項 $ x_{1}^{a_1} x_{2}^{a_2} x_{3}^{a_3} \ldots
x_{n}^{a_n}$は消える。

$ n$変数論理関数 $ f(x_1, x_2, x_3, \ldots ,x_n)$ $ f(a_1, a_2, a_3, \ldots ,a_n)=1$となる $ (a_1, a_2, a_3,
\ldots ,a_n)$に対応する最小項 $ x_{1}^{a_1} x_{2}^{a_2} x_{3}^{a_3} \ldots
x_{n}^{a_n}$だけで最小項表現(minterm expression)すると次のようになる。

$\displaystyle f(x_1, x_2, x_3, \ldots ,x_n) = \bigvee_{f(a_1, a_2, a_3,
\ldots ,a_n) = 1} x_{1}^{a_1} x_{2}^{a_2} x_{3}^{a_3}, \ldots ,x_{n}^{a_n}
$


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MANOME Yoichi 平成19年1月7日