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平成11年度の卒業生作成の文集へ

皆さん、卒業おめでとうございます。
Congraturations on your graduation!

 米国では、graduation という言葉でなく commencement という言葉を 使うようです。commencement の意味は beginning です。 卒業は人生の終点ではなくスタートであるという発想からのようです。

 これから皆さんは、「食べるために仕事をしていく」のか、「仕事をするために食べて いく」のかということを考えてしまうかもしれません。

 もう少し本質的な言い方をすれば、「存在するために食べる」のか「食べるために 存在する」のかということです。

 私は、「存在するために食べる」のだと思っています。つまり、「存在」に一番の 価値をおきたいのです。

 皆さんが、学生の状態で存在するときを英語で書けば、I am a student. となります。

             I / am     /a student.
           私は/存在する/学生の状態で

 つまり、I am "学生" です。そして会社員なれば、I am "会社員" ですし、結婚して夫に なれば、I am "夫" です。さらに、子供ができれば、I am "父親" です。

 変わらないものは、I am です。つまり、自分の存在です。学生であるとか、会社員である とか、夫であるとか、父親であるとかは、自分の状態にすぎません。別な言い方をすれば 自分の属性でしかありません。

 私たちは、I am であるから価値があるのです。学生であるからとか、会社員であるからと いうことで価値があるのではありません。

 皆さんは、そのうちに恋をするでしょう。美しい人が恋人になるかもしれません。 She is "美人" といったときにも、She is つまり彼女の存在に価値があるのです。美人だから 価値があるのではありません。もし、彼女が美人でなくなったら嫌いになりますか、彼女の状態 や属性が変わったからといって嫌いになるようでしたら偽の恋です。皆さんは、彼女の存在に 価値を認めたのですから。

 このことは、皆さんの耳が不自由なことと同じです。耳が不自由なことは不便であっても、 皆さんの存在する価値は不変だからです。

 ところで、I am の I とは何でしょう、つまり"私"とは何でしょう。

 考え続けていけば、属性に目を奪われない人達が言っている"自己(セルフ)"とか"大我" とか、ばあいによっては"宇宙"いう言葉に出会うかもしれません。

 では、元気に活躍してください。

(何か考えついたら、メイルを下さい。もちろん困ったときも。)
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